遺伝子組み換え生物 |
遺伝子組み換え生物とは、生産性を高めたり姿や性質を人間の都合に合わせるために、人為的に遺伝子を操作してつくり出された自然界には存在しない人工的な生物で、作物を初め微生物からペット・家畜に至るまで、さまざまな生物に於てつくり出されています。現在日本で承認されている遺伝子組み換え生物は大豆(枝豆、大豆もやしを含む)、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイヤの8種類の農作物で、その多くはアメリカ、ブラジル、アルゼンチン、カナダ、インド等で生産されています。生産大国アメリカでは1996年以降、多くの農家が遺伝子組み換え作物を導入しましたが、収穫率は一向に上昇していません。除草剤に耐性を持つ雑草がはびこり、更に多くの除草剤を撒くため経費と労力が嵩み、土地と水はひどく汚染されていきます。作物は一企業の特許権にしばられて自由に扱うことができず、ほんの一握りの人だけが儲け、多くの人が健康と自由を奪われて二度と後戻りできない情況に陥っています。 ★遺伝子組み換え生物は環境を脅かす 遺伝子が組み換えられた生物は、これまで地球上に存在しなかった人工的な生物ですが、それが自然界の種と交雑し、無制限に増殖して生態系のバランスを崩していきます。また遺伝子組み換えにより特定の除草剤に耐性を持つ作物をつくりだし、毒性の強い除草剤を大量に使用することにより大地と水が汚染され、自然を大きく破壊していきます。 ★遺伝子組み換え生物は私たちや動物の健康を脅かす 遺伝子組み換え生物を原材料とした食品・飼料には新しい毒素やたんぱく質が含まれていて、それによってアレルギー等を引き起こす恐れがあります。フランスのカーン大学の生物学者による実験では、除草剤に耐性を持つ遺伝子組み換えとうもろこしを与えられたラットは、肝臓のうっ血、壊死、重度の腎臓障害、乳房の腫瘍等で早期死亡するものが多く見られました。この実験では除草剤の使用の有無に関わらず、遺伝子組み換えとうもろこしそのものが有害であることが証明され、ドキュメンタリー映画「世界が食べられなくなる日」が制作されました。また、遺伝子組み換え作物を栽培しているアルゼンチン・サンタフェでは、肺がん、前立腺がん、乳がん発生率が国際平均と比べて2〜4倍となり、こちらでは除草剤の影響が懸念されています。除草剤により脊椎動物の出生障害や致命的な腎臓病の蔓延を引き起こすことも証明されています。その除草剤はラウンドアップと呼ばれ、後で述べるモンサント社が遺伝子組み換え作物とセットで販売しています。 ★遺伝子組み換え生物は経済界の格差や企業の暴走を招きます 世界の遺伝子組み換え作物の90%以上はアメリカに拠点を置くモンサント社という農業化学大手企業が開発していますが、モンサント社はアメリカ政府から多大な支援を受け、ベトナム戦争で化学兵器として使用された猛毒のダイオキシン類を含む枯葉剤を生産したり、PCB(ポリ塩化ビフェニル)を生産してきた会社です。これらの化学物質は発癌性、催奇性が強く、ごく微量でも内分泌攪乱物質(環境ホルモン)として生体に多大な悪影響を及ぼします。またモンサント社は、動物実験等により安全性が問題視されている人工甘味料(※)アスパルテーム(低カロリー・ノンカロリーを謳う多くの食品や飲料に使用)を開発したG.D.サール社を買収し、現在この化学合成添加物は同社の主力商品の一つとなっています。他に遺伝子組み換え作物の開発には、ナチス・ドイツに協力して兵器ビジネスに携わったデュポン社(本社アメリカ)、バイエルクロップサイエンス社(本社ドイツ)、シンジェンタ社(本社スイス)等が関わっています。これらの会社は開発した遺伝子組み換え種子の特許を保持し、独占大企業として経済界の格差を招いています。また特許を取得した作物が他の農地に紛れ込んだ場合、その特許を保持する企業が他の農地の経営者を訴えるという事態まで起きています。詳細につきましては「モンサント社に脅される農民」をご参照ください。映画「THE CORPORATION(ザ・コーポレーション)」では企業が生み出す社会問題を詳しく分析し、その5、16、17、22各章ではモンサント社に焦点を当てています。国際環境NGOグリーンピースでも、モンサントの遺伝子組み換え作物の生産者と、その周辺で暮らす人たちの体験や切実な思いをまとめたドキュメンタリー映像「Growing Doubt(グローイング・ダウト)」を制作しました。 (※) アスパルテームをビーグル犬に体重1キログラム当たり3グラム以上経口投与すると、その半数が死亡する。ヒト推定致死量は、200〜300グラム。「食品添加物の危険度がわかる事典(渡辺雄二著/KKベストセラーズ)」より ★国による曖昧な表示義務 ☆片やブランドによる正確な情報提供 現在の日本の法律では人の口に入るものでさえ「遺伝子組み換え」の表示義務が非常に緩く、その対象は現在承認されている8種類の農産物とこれを原材料とする加工食品で、意図せざる混入が5%以下であれば表示義務がありません(EUは0.9%以下、オーストラリア、ニュージーランドは1%以下)。加工食品でも遺伝子や遺伝子によってつくられる蛋白質が製品中に残らない油、醤油、砂糖、コーンフレーク等では、遺伝子組み換え原料を使用していても一切表示義務がありません。ペット・家畜の飼料も同様です。EUではスーパーなどの販売店のみならず、レストランでの表示も全品目義務付けられています。しかし日本でも「遺伝子組み換え原料不使用」を保証する書面を提示している会社やブランドもありますし、消費者の「知る権利」を尊重して情報を提供している団体や企業もあります。例えば有機JAS規格では遺伝子組み換えを認めていませんし、生活協同組合連合会グリーンコープ連合、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会等では商品の原料だけでなく、畜産飼料からも遺伝子組み換え作物を排除しています。近年、オーストラリアのヴィクトリア州、ニューサウスウェールズ州、西オーストラリア州で遺伝子組み換えなたねの商用栽培が正式に許可されましたが、原材料の一部に西オーストラリア州産のキャノーラ(なたねの一種)油を使用しているbe-NatuRalでは、その供給者から遺伝子組み換え原料を使用していないことを保証する証明書が発行されており、ドッグフード、サプリメントに遺伝子組み換え原料を一切使用していないことを明言しています。 |