*******種子島に核施設!?******* |
慶応大学助教授藤田祐幸氏を講師に招き、原発をめぐる問題についての講演会が開かれました。藤田氏を招いた経緯と講演の内容の一部を、私(大然)の考えを交えて以下に紹介します。 昨年はじめ、原子力発電所から出る使用済み核燃料の貯蔵施設を種子島に誘致してはどうかという話が持ち上がり、その後漁業関係者を中心に「リサイクル燃料備蓄見学会」ということで福島第一原発へ二泊三日の無料ツアーが行われ、これまでに400名以上の種子島住民が参加しています。海辺に造り海水を使う核施設には漁業者の同意が欠かせず、そこに的を絞ったツアー斡旋は本格的な立地をめざす動きと考えられます。すぐ隣の種子島に核施設ができれば、漁業、農業、観光業を始め、住民生活と産業のあらゆる面で屋久島が大きな影響を受けることは間違いありません。更に放射能が漏れた時には、黒潮に乗って僅か10日で関東まで達するでしょう。 こうした状況のもと、計画を憂慮する種子・屋久両島の住民有志は、まず多くの人たちに中間貯蔵と日本の原子力事情について知ってもらおうと、2月2日(種子島)と3日(屋久島)の両日にわたり、藤田祐幸氏を招いて講演会を開催しました。講演会は種子島で400人、屋久島で300人が集まり大成功でした。一方西之表市では1月23日に元市長や新旧市議多数を含む「核施設をつくらせない市民の会」が発足しました。 使用済み核燃料にはプルトニウムなど20種類以上の高レベル放射性物質が含まれます。弱い核反応が続いて熱を出すので冷し続ける必要があり、これまでは原発敷地内のプールで貯蔵してきましたが、どこも満杯に近付いています。この使用済み核燃料を青森県六ヶ所村の再処理工場に運んでプルトニウムを取り出し、それを高速増殖炉で燃やしてもっとプルトニウムを増やす「核燃料サイクル」という計画もありましたが、その高速増殖炉「もんじゅ」も世界最大のナトリウム火災を引き起こし停止しています。 高速増殖炉はナトリウムでなければ核分裂連鎖反応を抑えることができません。ナトリウムは水に触れると激しく反応して水素を生成し、爆発する恐れのある極めて危険な金属です。しかも数百℃に保っておかなければ固まってしまい、一旦固まれば数百立方メートルに及ぶ原子炉全体と数百メートルに及ぶ循環パイプを全て同時に温めることは不可能です。つまり常に温めて循環させてやることが必要で、このために「もんじゅ」には年間1億円もの電気代がかかっています。使用不能になった発電機が逆に電気を食っているという滑稽な話です。しかも回復の見込は全くありません。たとえ「もんじゅ」が順調に運転していたとしても、発電量に対しての経費が太陽電池の2倍という極めて不経済なものです。 プルトニウムは核燃料であると同時に核兵器の材料でもあるため、商業ルートでこれを利用するためにはテロリストなどからこれを守る必要があります。そのためプルトニウムに関わる情報を秘密にし、厳重な監視体制を社会全体に張り巡らせる必要があります。社会的な監視システムが個人のプライバシーを侵害し、自由、平等、民主主義に反するプルトニウム型管理社会となる訳です。このようにプルトニウム利用には経済的、技術的な難しさ、核兵器転用の恐れが付きまとい、世界中が撤退に向かっているにも拘らず、日本はプルトニウム利用、核燃料サイクルに固執しています。 たとえ種子島に中間貯蔵施設を造らせないことになっても、原発を運転している限り使用済み核燃料はどんどん増えていき、どこかに貯蔵する必要がでてきます。その放射能の強さは遮蔽物なしに近付けば即死するほどのものです。 絶対安全だというのであれば、漁業者一世帯あたり3000万円と言われる高額な保証金をなぜ出すのでしょうか。いや絶対に安全ということはありえません。プルトニウムの半減期は24000年、10半減期の24万年でやっと1024分の一となります。その間に一度も漏れないということが保証できるでしょうか?6300年前に薩南で起こった海底火山の大爆発、それに伴う大地震がいつまた来ないとも限りません。原発を使用している以上、数千年後、数万年後の世界は自分には関係無いなどという無責任な言い逃れは、絶対に許されることではありません。今ここに自分が存在しているのは、46億年の地球の歴史の奇跡的な一瞬だということを踏まえ、その奇跡を授けてくれた先祖と自然に対し、またこれからの子孫に対し、恥かしくない姿勢を示していきたいものです。 |
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