*******世界自然遺産会議******* |
「自然にやさしく 自然とともに そして自然を未来の子供たちへ」をテーマに、5月18日(木)〜21日(日)屋久島および鹿児島市に於て世界自然遺産会議が開催されました。初日は開会式と基調講演があり、皇太子が「たぐいまれな環境が貴重な財産として、今後とも大切に保存されていくことを願わずにはいられません。国境を超えた協力関係が一層進展することを期待します。」と述べられました。二日目はそれぞれのテーマによって3つの分科会に分れました。 第1分科会のテーマは「世界自然遺産の保全」で、七カ国の自治体の代表者がそれぞれの遺産地域の現状を報告しました。また遺産地域を保全していくために考えるべきこととして、保護区においてのマナー、土地の利用形態、移入種や家畜の放し飼いなどの問題、ゴミの問題、多くの人が入ってくることによるダメージなど、いろいろな問題が挙げられました。下に質問でのやりとりの一部を紹介します。 【質問者】木下大然 人為的な移入種についてお聞きします。屋久島では1971年、小杉谷にヤマメという魚が持ち込まれました。また道路工事の時に植えられる植物などで外来種が100種類を超えています。最近ではタヌキが移入されました。世界自然遺産では「持続可能な自然を保つ」ということが大切な目的となっていますが、この様に人為的な移入種が増え続けると、保全していく事が難しくなってきます。皆様の地域ではこの様な移入種についてどの様に考え、また対策を取っていらっしゃいますでしょうか? 【解答者】ネベル・ピート氏(ニュージーランド オタゴ地域 地域評議員) ニュージーランドでも移入されたオポッサムが1700万頭にも増え、年間2万トンもの植物が食害を受けています。これについては罠を仕掛けて捕獲したり毒殺したりしています。またヨーロッパから持ち込まれたイタチは、ニュージーランドにしかいない貴重な鳥などを殺してしまい、大きな問題になっています。これについても毒殺をしています。ニュージーランドは生物種はそれ程多くないですが、非常にユニークな生物がたくさん生息しています。屋久島も移入種から貴重な自然を守るために、セキュリティーについては充分気を付けなければならないと思います。 第2分科会のテーマは「世界自然遺産を生かした地域づくり」で、環境にやさしい産業や住民生活の推進、自然環境を考えるエコツーリズムの重要性、少数民族の文化や薬草利用など伝統的な知識を伝える、世界自然遺産だけに頼らない地域住民の収入源など、いろいろな意見が出されました。また世界自然遺産地域の管理について「世界自然遺産は国境を超えた人類の財産であり、国際協力の推進が必要」「遺産の保全に向けた持続可能な開発は、住民の参画なくしては達成できない」などと帰結しました。 第3分科会のテーマは「子供たちと世界自然遺産」で、未来を担う子供たちが遺産保全にどの様に関わっていくかを話し合いました。パネリストとして参加した秋田、青森、屋久島の中高生計5人は、インターネットを使って海外の遺産地域に住む子供たちと情報交換している事例を発表し、「自然と共生する生き方を世界に発信したい」「人間は自然に守られて生きていることを忘れてはいけない」などとまとめました。 分科会の後、屋久島サミット会合が開かれ、世界自然遺産を有する自治体の首長等による意見表明及び意見交換がなされました。また自然遺産の保全と遺産を生かした地域づくりについて、21世紀への道筋を示した「屋久島サミット宣言」を採択しました。 |
屋久島サミット宣言(抜粋) |
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20、21日は屋久島から鹿児島市に会場を移して会議を再開しました。遺産地域以外の自然を地域づくりにどう活かすかなどの問題をめぐって、県民を交えて活発に論議し、ゴミ減量やエコツーリズムなど県内外の先進的な事例報告が相次ぎました。 |