******森の保全とエコツーリズム******
(アフリカと屋久島の森を結ぶ民間国際交流の試み)
 2000年9月中旬、山口県立大学教授の安渓遊地さんが中心となって企画した「自然・ヒト関係の修復に向けた国際学術協力の実践」を目指すプロジェクトが立ち上がりました。これはトヨタ財団の助成を受け実現したものです。この時は安渓さんご夫妻、京都大学助教授の湯本貴和さん、屋久島の手塚賢至さんらがケニアのカカメガの森を訪れ、現地の人たちと交流しました。高い人口密度と放牧や薪の採取等によって急速に消滅しようとしているアフリカの森と、観光客の増大等によって森の破壊が進行中の屋久島の住民が、互いの経験を共有し啓発しあうことで、森林という人類共通の宝を通したアフリカと日本の文化交流・学術交流を実践しようというものです。

 今回はケニアのカカメガの森と、コンゴ民主共和国のカフジ・ビエガ国立公園から、それぞれ森の保全に携わっている人たちを屋久島に招いて交流しました。

 2001年8月23日には屋久島環境文化村センターで講演会が開かれました。内容は次の通りです。
◆森を守るための環境教育とエコツーリズムの取り組み
ケニア・カカメガの森からのメッセージ
ウィルバフォース・オケカ(カカメガ環境教育プログラムKEEP代表/カカメガ生物多様性保全ガイド協会代表)
安渓遊地(山口県立大学国際文化学部教授/文化人類学)
安渓貴子(山口大学非常勤講師)
湯本貴和(京都大学生態学研究センター)
手塚賢至(ヤッタネ!調査隊)

◆コンゴ民主共和国・1970年代からのゴリラ・エコツーリズムの実践
内戦の中でのゴリラ保護・森とゴリラと人との共生
バサボセ・カニュニ(コンゴ国立中央科学研究所生物研究部長/霊長類学、保全学)
ジョン・カヘークワ(ポポフ代表/エコツアーガイド)
デヴィッド・ビシームワ(ポポフ筆頭アーティスト)
山極寿一(京都大学理学部助教授/人類学、霊長類学、ポポフ日本支部)

カカメガ環境教育プログラムKEEPとは……
(Kakamega Environmental Educational Program)
ケニア西部に、国内においては唯一残る熱帯雨林、カカメガの森の保全とエコツアー、地域の環境教育に取り組む。その活動は、ケニアで初めての民間からの活動として内外から高い評価を受けている。

ポポフ(Pole Pole Foundation)とは……
ポポフ(ポレポレ基金)は、コンゴ民主共和国の東部カフジ・ビエガ国立公園(世界自然遺産登録地)で、ゴリラのエコツアーガイド、ジョン・カヘークワにより創設されたNGO。カフジ・ビエガ国立公園では、1970年代からゴリラのエコツアーが実施されている。ポポフではゴリラをシンボルとして、コンゴの自然と文化に誇りを持ち、地場産業の育成へとつなげ、エコツーリズム、国際的な自然教育事業、フェアトレード(公平貿易)などに発展させていく夢を持つ。

ポポフのホームページ

 ポポフの活動紹介、カフジ・ビエガ国立公園、東ローランドゴリラ、ポポフ・グッズなどがカラー写真で紹介されている他、今までのニュースレターがすべて閲覧できます。ゴリラの歩く姿がとってもユニークですよ。ぜひ一度ご覧ください。

ポポフのホームページ
     25日には上屋久町議員の荒木耕治さんの船“友仁丸”をお借りして宮之浦港から西部までクルージングを楽しみました。途中トビウオが船に飛び込んできたり、トローリングをしてメバチやカツオを釣ったり、アフリカの内陸部に住む彼らにとっては全て初めての体験で、皆とても楽しそうでした。港に戻ってからは釣った魚を刺身にして美味しく頂きました。
 25日午後は安房の貯木場を案内しました。屋久杉の伐採の歴史を説明し、現在の森林管理署の方針が木材生産だけでなく森林環境保全に向けられていることを話しました。しかしせっかく育てた人工林は殆ど利用されず、一方で日本では外材の輸入が盛んとなり、熱帯雨林やシベリアの針葉樹林の破壊につながっていることなども付け加えました。      
     27日は柴鐵生さんの案内で、標高1000m付近の森を歩きました。ここは屋久杉伐採の最盛期に柴さんらが運動を起こし、伐採を食い止めた所で、柴さんには特別な思い入れがあります。柴さんの提案で皆裸足になり、森の感触を足の裏で感じながら、また足元の小さな生物にも気を配りながら散策しました。一本の屋久杉の前で安渓遊地さんがお祈りをしてお神酒を捧げました。アフリカの人たちはその様子を見て、自分たちがそうであるように、日本人も自然に対して敬虔な心を持っていることを認識したようでした。
 林道入口で記念撮影をしました。一番前で横臥しているのが安渓遊地さん、その後ろに座っているのは左から手塚田津子さん、ジョン・カヘークワさん、柴鐵生さん、安渓貴子さん、木下大然です。その後ろに立っているのは右から山極寿一さん、?さん、?さん、日吉眞夫さん、ウィルバフォース・オケカさん、手塚賢至さん、バサボセ・カニュニさん、木下香里、?さん、?さん、デヴィッド・ビシームワさん、?さん、?さんです(全員の氏名が分らなくて申し訳ございません)。  
     27日夜は宮之浦公民館で交流会をしました。森を守っていくにはどのようにしたら良いか、それぞれの立場でいろいろな発言をし、活発に意見交換をしました。デヴィッド・ビシームワさんはその場でゴリラなどの絵を描き、その絵はオークションにかけられました。私(大然)はチンパンジーの絵を競り落としました。

屋久島だより(屋久島の素晴しい自然と私たち家族の紹介)   Earthly Company(屋久島エコツアーガイド)