屋久島ガイド連絡協議会第4回通常総会において

 2002年6月26日(旧暦5月16日)は屋久島ガイド連絡協議会の総会でした。屋久島には年に3回山の神祭りというのがあります。旧暦1月、5月、9月の16日は、山で働く人も海で働く人も仕事を休んで山の神様の供養をし、皆で集まって話し合う風習があります。私たちガイドもそれに倣って仕事を休み、皆で話し合う場を設けました。

 私たちはガイドとして自分の職場に責任を持つという意味で、遭難対策としてアマチュア無線のレピータ局(中継局)設置管理と救助犬養成をやっています。今日の総会においては、ガイド連絡協議会としてレピータ局管理団体の団体会員として加盟することが可決され、また救助犬についても話し合われました。初めに資料を渡してその後質疑応答となりました。下にその内容を記しておきます。

Q.(観光協会)救助犬の訓練で山に入ることを反対するガイドがいるが、そのように見られないためにも、なぜ初めから皆と話し合いをもって始めなかったのか?
A.(木下大然)私が救助犬に関わるようになったきっかけは、屋久島での遭難者捜索に救助犬が導入され、その時彼らのガイドをしたことがご縁です。その時捜索に関わった多くのガイドは、皆その場では救助犬のことを理解しているように感じられました。その時の雰囲気から察して、皆協力してくれるだろうと思ったからです(実際にはその捜索に係わったガイドの一部が反対している)。

Q.(観光協会)縄文杉、白谷雲水峡、ヤクスギランドなど、たくさん観光客が訪れる場所に頻繁に行って訓練する必要があるのか?
A.(木下大然)訓練は毎日の積み重ねが大切です。第一に、実地での捜索を可能にするために、遭難が起るあらゆる場面を想定して訓練を積んでいく必要があります。第二に、なるべく多くの人に接して友好性を養うことが必要です。この二つの目的に沿うためには、いろいろな登山コース、川、海等での訓練、また人の多い場所に連れて行っての訓練が欠かせません。また実際お客様の多くは、犬が一緒にいたことで心が安らぎセラピー的な効果があったり、とても楽しかったと言って喜んでくれます。私のお客様だけでなく、周りにいる観光客の多くも同様です。

Q.(観光協会)せっかく一生懸命やっても、皆に認められず実際の捜索の場がなければ、その努力は水泡に帰してしまうのではないか?
A.(木下大然)確かに遭難者の家族や警察等から要請がなければ勝手に救助犬を連れて捜索に入ることはないと思います。しかし例え今の犬が一度も捜索に関わることがなかったとしても、それは決して無駄にはならないと思います。25年前はアメリカでも今の日本と同じような意識だったと聞いています。私がやっていることはきっといつか皆に理解されるだろうと信じています。

Q.(ガイドA)生態系に対する影響はないのか?
A.(木下大然)全くないとは言えませんが、狂犬病ワクチン、混合ワクチンなど適切な健康管理をしていますし、訓練中も野生生物に対してなるべく悪影響が出ないように配慮しています。

Q.(ガイドB)訓練中、犬が嫌いな人に出会ったらどうするのか?
A.(木下大然)そのような人は見ればすぐに分るので、リードを短く持ち、道を譲るようにしています。また万が一のことを考えて、保険金額一億円までの賠償責任保険に加入しています。

Q.(ガイドC)犬がいてもサルやシカが逃げないというのなら、その証拠を示して欲しい。
A.(木下大然)分りました。今度近くで一緒に写っている写真を撮ってお見せしたいと思います。

 これだけ見ると、何だか反対意見が多いように思われるかも知れませんが、全体としては理解者はどんどん増えてきています。もちろん出来る限り摩擦が無いように訓練と広報に励んでいきたいと思います。また誰から見ても救助犬の訓練中だということが分るように、「全国災害救助犬協会連合会 屋久島救助犬協会」と記した腕章と帽子を付けて訓練しています。


屋久島救助犬協会事務所 木下 大然
屋久島町安房2627-133
TEL/FAX 0997-46-3714
URL http://yakushima.org/rescudog.htm
E-mail daizen@yakushima.org

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