2003年6月27日救助犬訓練報告

 日頃は屋久島のためにいろいろとご尽力いただきありがとうございます。

 屋久島救助犬協会では災害(遭難)対策の一つとして救助犬の育成をしておりますが、屋久島の山岳地帯での救助犬訓練について皆様のご理解をいただきたく、下記の通り報告いたします。

 年月日:2003年6月27日(曇)
 行程:06:20〜18:30荒川登山口〜縄文杉〜荒川登山口
 目的:環境および他人への馴致。運動能力および体力増進。
 理由:遭難事故が起きた場合に実際に出動する地域で日常の訓練を積むことが必要。面識のない被災者(遭難者)を救助するため、他人への友好性を高めることが必要。
 訓練士:木下大然(訓練およびガイド)
 ヘルパー:高橋了(研修生)
 訓練犬:雲居の雁(2歳6ヶ月・2002年10月27日救助犬第1種認定)
 訓練内容:オンリードで歩きながら、または留まっての服従訓練、起伏の激しい登山道を歩くことによる障害物通過訓練、多くの観光客に会うことで他人への友好性を高める訓練、野生生物に興味を示すことを矯正する訓練、実際に遭難があり得る場所での捜索訓練等。
 訓練中会った人や動物の反応:私のお客様3名は救助犬をツアーに同行したことについてとても喜んでいた。他の観光客約80名、ガイド10名も殆ど好意的だった。殆どのガイドは救助犬について説明してくれた。私のお客様は救助犬にとても興味を持ったので、森の中で隠れてもらい捜索訓練をした。

 途中サルに出会ったが、雁はサルには殆ど興味を示さなかった。シカには5回以上出会った。雁はシカに対しては少し興味を示すこともあったので、その場で捜索訓練をして、遭難者役に興味を向けるように誘導した。シカは全く警戒しないものからかなり警戒するものまでいろいろだった。

 以上です。

野生生物として正常?

 他の観光客が近くにいないことを確認した上で、シカが警戒する様子を私のお客様に見せる目的で雁に吠えさせましたが、そのシカは警戒するどころか寄ってきてしまいました。念のため、雁はシカに向かって吠えたのではなく、私の号令に従っただけです。エコツアーガイドの立場としては、これが正常な野生生物の反応なのかと疑問を呈するところです。2002年7月8日、環境省屋久島世界遺産センターにおいて開かれた屋久島マナービデオの作成についての意見交換会では、あるガイドが犬連れ登山について「今のシカは人間に馴れすぎているから、野生を維持するためにも多少犬に吠えられて人間との距離を保つ方が良い。」と言っていましたが、ヤクシカの現状を見ればそのような意見が出るのも頷けるでしょう。

 この報告は屋久島の山岳に関わる各関係機関およびガイド関係者に対し、屋久島救助犬協会が自主的に行っているものです。ご質問、ご意見等ございましたら下記までご一報ください。

鹿児島県熊毛郡屋久町安房2627-133
TEL/FAX 0997-46-3714
Mobile 090-9580-7862
E-mail = waken@bronze.ocn.ne.jp
URL = http://yakushima.org/rescudog.htm
屋久島救助犬協会
訓練士・指導手 木下大然

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