2003年8月15日救助犬訓練報告

 日頃は屋久島のためにいろいろとご尽力いただきありがとうございます。

 屋久島救助犬協会では災害(遭難)対策の一つとして救助犬の育成をしておりますが、屋久島での救助犬訓練について皆様のご理解をいただきたく、下記の通り報告いたします。

 年月日:2003年8月15日(雨)
 行程:09:40〜11:40安房川カヤック
    12:30〜16:50白谷広場〜原生林歩道〜もののけ姫の森手前〜楠川歩道〜弥生杉〜白谷広場
 目的:環境および他人への馴致。運動能力および体力増進。
 理由:遭難事故が起きた場合に実際に出動する地域で、また地震、台風、土石流、火山噴火などの災害を想定して日常の訓練を積むことが必要。面識のない被災者(遭難者)を救助するため、他人への友好性を高めることが必要。
 訓練士:木下大然(訓練およびガイド)
 訓練犬:雲居の雁(甲斐犬2歳8ヶ月♀・2002年10月27日救助犬第1種認定)
 訓練内容:カヤックに乗せて移動する訓練、水泳訓練、オンリードで歩きながら、または留まっての服従訓練、起伏の激しい登山道を歩くことによる障害物通過訓練、多くの観光客に会うことで他人への友好性を高める訓練、野生生物に興味を示すことを矯正する訓練、実際に遭難があり得る場所での捜索訓練等。
 訓練中会った人や動物の反応:私のお客様2名は救助犬をツアーに同行したことについてとても喜んでいた。他の観光客約60名、ガイド7名、管理棟係員2名も皆好意的だった。殆どのガイドは救助犬について説明してくれた。私のお客様は救助犬にとても興味を持ったので捜索訓練を手伝ってもらった。

 途中サル、シカに出会ったが、雁は殆ど興味を示さなかった。サルは少し警戒していたが、シカは殆ど警戒していなかった。

 以上です。

救助報告

 本日白谷雲水峡にて増水のため沢を渡れず救助を求めていた人がいたため、下記の通り救助したことを報告いたします。

 日時:2003年8月15日15:30〜16:00(雨)

 雁とお客様2名とともに七本杉の先の沢まで行ったが、増水していたため引き返そうとしたところ、雁が何かに反応した。間もなく老夫婦が下りてきて、増水している沢を見て渡れずに困っていたので、上流に誘導し手を貸して渡らせた。

 白谷小屋の手前の沢にも3名の登山者がいたので「どうしましたか?」と聞くと、向こう側におじいさんを残してきたということだったので、安全に渡れる場所に誘導し手を貸して渡らせた。

 楠川歩道を下りていくと、下から3名の登山者が登ってきて、沢が増水して渡れないとのことだったので、その近くに全員(私のお客様も含め11名)を待機させ、安全に渡れる場所を探した。上流の方に木が川の上に倒れているところがあったので、安全のためその上にロープを張り、一人ずつ渡らせた。

 憩いの大岩の手前も増水して渡れなくなっているはずなので、全員を弥生杉コースに誘導して白谷広場に無事到着した。

 以上です。

 初めの老夫婦は雁が反応したことで私が気が付き救助することが出来ました。その老夫婦からはお礼に2万円いただいたので、屋久島救助犬協会の活動費として有効に使わせていただきます。その老夫婦は神戸からいらしたとのことで、救助犬にも深く理解を示されました(老夫婦が宿泊した民宿のウェブページに関連記事あり)。

 この報告は屋久島の山岳に関わる各関係機関およびガイド関係者に対し、屋久島救助犬協会が自主的に行っているものです。ご質問、ご意見等ございましたら下記までご一報ください。

鹿児島県熊毛郡屋久町安房2627-133
TEL/FAX 0997-46-3714
Mobile 090-9580-7862
E-mail = waken@bronze.ocn.ne.jp
URL = http://yakushima.org/rescudog.htm
屋久島救助犬協会
訓練士・指導手 木下大然

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