2003年12月28日救助犬訓練報告

 日頃は屋久島のためにいろいろとご尽力いただきありがとうございます。

 屋久島救助犬協会では災害(遭難)対策の一つとして救助犬の育成をしておりますが、屋久島での救助犬訓練について皆様のご理解をいただきたく、下記の通り報告いたします。

 年月日:2003年12月28日(晴)
 行程:10:40〜17:00白谷広場→楠川歩道→太鼓岩→楠川歩道→弥生杉→白谷広場
 目的:環境および他人への馴致。運動能力および体力増進。
 理由:遭難事故が起きた場合に実際に出動する地域で、また地震、台風、土石流、火山噴火などの災害を想定して日常の訓練を積むことが必要。面識のない被災者(遭難者)を救助するため、他人への友好性を高めることが必要。
 訓練士:木下大然(訓練およびガイド)
 訓練犬:雲居の雁(甲斐犬3歳♀・2002年10月27日、2003年10月26日救助犬第1種認定)
 訓練士:ジョン・ペリー(救助犬研修)
 訓練犬:武蔵(甲斐犬9ヶ月♂)
 訓練内容:多くの人に会うことで他人への友好性を高める訓練、オンリードまたはオフリードで歩きながら、または留まっての服従訓練等。
 訓練中会った人や動物の反応:私たちのお客様2名は救助犬をツアーに同行したことについてとても喜んでいた。他の観光客約100名、ガイド16名も殆ど好意的だった。私のお客様は救助犬にとても興味を持ったので、森の中に隠れてもらい捜索訓練をした。武蔵はランナウェイ訓練※に留めた。また武蔵は犬好きな人が正面から近づくと警戒して吠えることがあったので、その人たちには手から餌を与えて警戒をほぐしてもらった。

 途中シカに出会ったが、雁は殆ど興味を示さなかった。シカは殆ど警戒していなかった。武蔵は初めて見たシカに興奮したので、チョークチェインカラーで矯正するように指導した。

※ランナウェイ訓練=ヘルパー役が首輪をつかんでいる犬の前で、ハンドラー役はご褒美を見せながらうずくまり犬のテンションを上げて吠えさせ、次にハンドラー役が犬の名を呼びながら走ってすぐ近くにうずくまると同時にヘルパー役は犬を離し、犬がハンドラー役に走り寄って吠えたらハンドラー役は良く誉めながらご褒美を与える。普通は初歩の捜索訓練法だが、捜索意欲を高めるためには必要に応じて随時行う。

 以上です。

 この報告は屋久島の山岳に関わる各関係機関およびガイド関係者、また救助犬関係者に対し、屋久島救助犬協会が自主的に行っているものです。ご質問、ご意見等ございましたら下記までご一報ください。

 ジョン・ペリーさんは福岡市からわざわざ救助犬の研修に来ています。26日にイラン南東部で起きた大地震の現場にも、スイスと日本から救助犬チームが救援にかけつけていますが、一刻を争う現場で的確に作業できる犬を作り出すことは、社会的にも非常に意義のあることだと思います。その訓練には膨大な時間と費用が掛かりますが、救助犬が社会的に殆ど認められていない現在の日本においては、すべて個人負担となっているのが現状です。今後とも皆様のご支援をいただきたく、宜しくお願い申し上げます。

鹿児島県熊毛郡屋久町安房2627-133
TEL/FAX 0997-46-3714
Mobile 090-9580-7862
E-mail = waken@bronze.ocn.ne.jp
URL = http://yakushima.org/rescudog.htm
屋久島救助犬協会
訓練士・指導手 木下大然

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