富山での訓練および審査会 |
災害救助犬の訓練および認定審査会参加のため、2002年9月30日から10月28日までほぼ1ヶ月間に渡り、富山の坂井訓練所にお世話になりました。同訓練所所長の坂井貞雄先生は、昭和39年、23歳のとき東京盲導犬協会に訓練士見習いとして入り、7年間、警察犬や盲導犬などの訓練の手ほどきを受けて一本立ちしました。その後、東京で5年間修業を続け、盲導犬の大切さを痛感、盲人に少しでも役に立てばと故郷の富山で訓練所開設に踏み切りました。現在では盲導犬のほか、警察犬、爆発物捜索犬、麻薬捜索犬、災害救助犬などの訓練も手掛けています。特に警察犬、救助犬では富山県警の嘱託を受けたり、東京税関からは、爆発物を仕掛ける人物を探す犬を訓練するために指導を仰ぎに来るなど、公的機関からも全面的な信頼を得ています。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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坂井訓練所での警察犬防衛訓練 |
神通川河川敷での警察犬休止訓練(一番右は雁) |
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平成14年度富山県総合防災訓練 緊急消防援助隊中部ブロック合同訓練 |
10月17日は富山県高岡市の高岡スポーツコアグランドで開催された防災訓練に参加しました。阪神・淡路大震災のように大都市で大地震があったという設定で、富山だけでなく、石川、福井、新潟、岐阜、愛知、三重、静岡の各県から、消防、警察、自衛隊、そして救助犬などが参加した非常に大規模な訓練でした。すぐ上を負傷者役を吊り上げたヘリコプターが飛び、たくさんの緊急車のサイレンが鳴り響く中、犬たちは皆平然としていました。あらゆる災害現場で作業しなければならない救助犬として、このように突然の物音や出来事に怖がらず、落ち着いて行動できることは必須条件です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
救助犬は犬種を問いません。今回の審査会にもいろいろな犬種が参加しました。右の写真は雑種のマナティ(父犬ラブラドール・レトリーバー×母犬ジャーマン・シェパード・ドッグ)、下の写真は左から甲斐犬の雁、ジャーマン・シェパード・ドッグのアンティス、ミニチュア・ダックスフントのさくらです。またこのように他の人や犬に対して友好的であることは、救助犬として欠かせない非常に重要な条件です。 |
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平地捜索の審査を受ける大然&雁チーム |
災害救助犬協会富山主催の第9回全国災害救助犬認定審査会は、10月26、27日の2日間、富山県婦負郡山田村の牛岳スキー場にて行われました。全国から名高い訓練士たちが審査員として招かれ、服従、障害物通過、平地捜索、瓦礫捜索のそれぞれの作業を厳格に審査しました。参加者は71チーム(指導手+犬)で、第1種(平地捜索)合格20チーム、第2種(瓦礫捜索)合格12チーム、第3種(平地・瓦礫捜索)合格15チーム、合わせて47チームが合格しました。捜索作業がいくら優れていても、服従や障害物通過ができなければ合格しません。もちろん他の犬や人に対して攻撃的な犬は問題外です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
お蔭様で雁は救助犬第1種に合格することができました。通信教育で細かくご指導くださった長野の山下さん、屋久島までいらして通信教育では分らなかった点をご指導くださった東京の井上さん、そして富山では坂井先生を始め、奥様の征子さん、お二人の娘さん、訓練士の皆さんには本当にお世話になりました。また奥様の陰の力も強く感じさせられました。坂井先生からは「パーフェクトで受かったのではないのだから、決してこれで満足してはならない」と厳しく言われました。この1ヶ月間学んだことを活かして、これからも訓練に励んでいきたいと思います。 | 救助犬認定証を持つ大然(左)と山下さん(右) |
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審査員の先生方を始め、日本動物専門学院、ちば愛犬動物学園他ヘルパーの皆さん、進行係、記録係、設営係等々運営委員の皆さん、寒い中ボランティアでご尽力くださり本当にありがとうございました。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
──お世話になった坂井訓練所の訓練士の皆さんと── 左から石割さん、多田さん、久蔵さんと雁、勅使河原さん、後藤さん、若林さん、大渕さん、大然 |
犬の訓練は人間の子どもを育てることと一緒です。愛情を持って根気よくしつけていくことが大切です。しつけの基本はして良いこと、悪いことの区別をしっかりと覚えさせることです。肝心なのは犬に信頼感を抱かせることです。人との絆ができて初めて号令を聞いてくれます。訓練は基本的に犬にとって楽しくなければなりません。また犬は人間の心を敏感に読み取ります。私たち指導手も心を落ち着かせ、あせったり、怒ったり、緊張したりせずに犬を操作しなければなりません。日常の生活そのものが全て訓練に繋がります。またいざ出動となった時には犬、指導手ともに過酷な捜索に耐えられるだけの体力と精神力が必要です。特に山岳捜索に於ては体力と共に高度な技術を要することもあり、日頃から鍛錬しておく必要があるでしょう。 |