ネイティブの心
──国立公園のあり方を考える──
 西部劇にも描かれているように、アメリカの西部開拓時代にはよくアメリカインディアンの襲撃がありました。しかしなぜアメリカインディアン(ネイティブアメリカン)たちは白人たちを攻撃したのでしょうか?

 アメリカ大陸は周知の通り、コロンブスが来るまでネイティブアメリカンしか住んでいませんでした。彼らは自然を敬い、200年後のことまで考えて木を切り、バッファローなどを食料とし、自然に随って生活してきました。ところが白人たちはネイティブアメリカンを制圧するために、彼らの生活の糧であるバッファローを絶滅寸前まで追い込んでしまいました。他にも多くの種が絶滅しました。その後、白人は自分たちが壊した自然を守るため、ネイティブアメリカンを追い出して国立公園をつくりました。

 白人はアフリカでも自然の中で太古から生活してきた遊牧民のマサイ人、狩猟採集民のピグミー人を追い出して国立公園をつくりました。オーストラリアでも自然と共に生活してきたアボリジニを迫害し、つい最近まで人間として扱ってきませんでした。いずれの地においても白人たちは後から移住してきた人種です。

 日本のアイヌは森羅万象すべてにカムイ(神)を宿して敬い、7代先のことまで考えて木を切り、熊などを食料として自然の掟に従って生活してきました。ところが明治政府は彼らから言語や伝統を取り上げ、抑圧してきました。その結果、北海道の自然は大きく破壊されました。

 すべてのネイティブに共通して言えることは、土地を一切自分のものにせず、また自然に対して与える影響は必要最小限とし、持続可能な形で利用していたということです。彼らは自然の一部として自然と一体化した存在でした。それを無理矢理分離したことは、却って双方にとって大きなマイナスとなったでしょう。

 こうして考えると、今の国立公園のあり方は、本当の意味で自然を守っていることにはならないでしょう。本当に自然を守るには、自然と共に暮してきたネイティブの心をなおざりにしてはならないのではないでしょうか?

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