自然から学ぶ

 私達はそれぞれ生れ育った環境の中で学習し、成長していきます。自然から直接学び、親、学校、本、マス・メディアなど様々な媒体を通して学び、そのようにして学んだことを自分の中で整理し、消化していきます。このように私達は周りの環境によって形成されている訳ですが、そういった認識がなければ自我に執着してしまいます。もしそういった認識があれば、自分自身に「本当に自分の考えや行動は正しいのだろうか」と問いかけ、改善していくこともできます。
 最近では自然から直接学ぶ機会が少なくなり、自然に対しての認識不足から事故が起きたり、逆に自然に対して必要以上に恐怖感を持つことも多くなりました。私達はどんなに都会で生活していても、自然の恩恵を受けて生かされています。たとえ豪邸に住んで高級車を乗り回し、夜な夜な高級酒場で飲み歩いているような人でも、自然がなくては生きていけません。そんな中で、私達は自然から学ぶことの大切さをもう一度考え、見直していく必要があるでしょう。


人と自然の調和

 自然は多様性があってこそバランスを保ち、調和することができます。私達にとって直接的にはあまり役に立たなかったり、むしろ害になる存在であっても、自然界では重要な役割を担っていたりするものです。
 自然の多様性をどのように見るか、それは私達の心の問題です。心は現実に目に見える世界を大きく左右させます。ゴータマ・シッダールタ(後の釈尊)は小鳥が鷹に襲われるのを見て、この世界は「弱肉強食」ではなく「共存共栄」だと悟られたそうです。同じ状況であっても、心が弱肉強食と感じるか共存共栄と感じるかによって現実の受け止め方が違います。その違いによって私達の生活まで変ってきます。私達の生活の変化は自然に対して大きく影響を与えます。他にも同じ場面に於て、美しい、醜い、可愛い、怖いなど、私達の心の感じ方によって現実の受け止め方が異なり、結果として自然に対して大きく影響を与えていきます。
 最近は受験戦争などの競争社会に於て人間の心が荒廃してきています。これは企業社会にとって有用な者だけを選抜するといった弱肉強食の世界です。こういった見方をしていけば経済優先の社会となり、心の豊かさが失われ、環境も破壊されていくことでしょう。
 私は一人一人が人間社会や自然の多様性を「共存共栄」と感じることにより、人と自然の調和が保たれた素晴しい世界になると信じています。
 
調和自然即是仏心
Harmony with nature is Buddha mind
破壊自然即是邪心
Destroy nature is evil mind
 
大然 九拜