フレンチ・ブルドッグ

 フレンチ・ブルドッグは体重8〜14kg、体高24〜35cmの小型犬で、コンパニオンドッグとして世界で広く飼育されている犬種です。「erect bat ear(直立したコウモリの耳)」と呼ばれる耳が特徴的で、毛色にはブリンドル、パイド、クリーム、フォーンのバリエーションがあります。先祖の一種であるブルドッグは元々イギリスで牛と戦わせるために作出された犬種です。しかし1835年にイギリスで施行された動物虐待法により、このような動物虐待は禁じられました。イギリスでは小型化して性格も穏やかにしたものをトイ・ブルドッグ(ミニチュア・ブルドッグ)と呼び、愛玩用に広めようとしましたがあまり人気が高まらず、特に小さすぎたり立ち耳などの犬は規格外とみなしてフランスに送られました。19世紀半ば頃、イギリスからフランスに持ち込まれたトイ・ブルドッグとフランス・パリの地元のラッター犬(ネズミ捕り用の犬)との交配により作出された犬は親しみやすく、穏やかな気質を持ったコンパクトな犬として大流行し、犬種が固定されてフレンチ・ブルドッグとなりました。その後イギリスにも逆輸入されるようになり、元になったトイ・ブルドッグは絶滅の一途をたどりました。

 現在、フレンチ・ブルドッグはペットとして非常に人気が高まっていて、2019年にはイギリスで2番目に、アメリカで4番目に人気が高い登録犬種になりました。この犬種は他の多くのコンパニオンドッグと同様、人間との密接な接触を必要とし、数時間以上放置すると分離不安になる可能性があります。それは特に若い犬に当てはまりますが、成犬期まで続きます。めったに吠えず、忍耐強く、飼い主に愛情深く、他の犬種と一緒に暮らすこともできます。一方で頑固な一面もありますが、しつけ(訓練)によりある程度は矯正できます。欧米では「Frog Dog(カエル犬)」と呼ばれることがありますが、それは丸い顔と後ろ足を広げた座り方がカエルのように見えるからです。また「Clown Dog(ピエロ犬)」と呼ばれることもあります。ピエロは愛嬌を振りまいて人々を楽しませる存在であり、まさに彼らはピエロそのものだからです。

 フレンチ・ブルドッグは頭が不釣り合いに大きく脚が短いため、水に浮かんでいることが困難で水泳は苦手です。そのため深い水辺に入らないように注意が必要です。また多くの純血種について言えることですが、フレンチ・ブルドッグも健康上の問題を抱えている可能性があります。この犬種に最も多く見られる問題は、顔の構造に起因する呼吸の問題です。この犬種は元々いびきをかく犬種ですが、一定のリズムで大きないびきをかく子は鼻腔狭窄症の可能性があります。また暑くもないのに息が荒かったり、少しの運動で息が上がる場合も鼻腔狭窄症である可能性が高いです。そのような子は熱中症にもかかりやすいので、充分に注意してください。もし熱中症にかかったらすぐに水浴びをさせて、症状が治まるまで体を冷やしてください。フレンチ・ブルドッグの購入を検討している場合は、これらの呼吸の問題を最小限に抑えている、評判の良いブリーダーから購入されることをお勧めします。なお、このような呼吸器系の問題が生じやすい犬種について、JAL(日本航空)は年間を通して、ANA(全日空)は5月1日から10月31日までの間、空輸を認めておりません。

 フレンチ・ブルドッグのように主に室内で過ごすコンパニオンドッグは、運動不足による肥満のリスクが高いので、室内での運動や短い散歩による運動は必要ですが、鼻腔が極端に短いため、特に暑いところで呼吸が荒々しくなるような激しい運動は避ける必要があります。またアレルギーを起こしやすい犬種なので、化学合成添加物や遺伝子組み換え生物を含まない高品質のフードを選び、体重を管理しながら適量を与えるようにしてください。この犬種は短くて上質の絹のようなコートをしているので、比較的手入れは簡単です。短毛ですがダブルコートで、春と秋に換毛期があって毛が抜けます。定期的にブラッシング、爪切り、耳掃除、入浴をしてあげてください。顔にしわが多いので、しわの間をきれいにして乾いた状態に保つことが大切です。

フレンチ・ブルドッグに関するウェブサイト

ジャパンケネルクラブ フリー百科事典 Wikipedia

フレンチ・ブルドッグに関する書籍

フレンチブルドッグのくすり箱 弱点克服メディカル フレンチブルドッグと暮らす

フレンチ・ブルドッグに関する映像

吠えても届かない一場面


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