アマチュア無線の資格取得から開局・運用まで

アマチュア無線技士の資格を取得するには
 ここでは20ワットまでのトランシーバー(一部の周波数帯および電波形式を除く)が運用できる、第四級アマチュア無線技士の資格取得について解説していきます。

 第四級アマチュア無線技士の国家試験は、試験時間1時間、無線工学、法規とも12問ずつで、1問あたり5点、それぞれ60点満点中40点以上で合格です。試験日、試験会場、手数料等については以下のサイトをご参照ください。

 無線従事者国家試験に関する案内

 以下の問題集を購入して、試験前の1〜2週間、理屈抜きで丸暗記すればほぼ受かるでしょう。

 完全丸暗記 初級アマチュア無線予想問題集〈2010年版〉

 国家試験より費用はかかりますが、国家試験が免除される養成課程講習会もあります。こちらも試験はありますが、講習内容を良く聞いていれば受かるでしょう。

 JARD養成課程講習会日程

開局するには
 アマチュア無線技士の資格を取得しただけでは、アマチュア無線機器を運用することはできません。無線局免許を申請し、開局する必要があります。個人局と社団局があり、いずれもコールサインは一つしか割り当てられませんが、コールサイン+名前(ニックネーム可)で呼び合うこともできるので、数人以上で使用する場合には社団局で申請するのも良いでしょう。

 開局に必要な書類
※A4サイズの紙に印刷。表、裏の指定があるものは用紙の表裏に印刷。文書中の赤文字は記入例。
●アマチュア局の無線設備の保証願書(Word文書) (PDF文書)
●無線局事項書及び工事設計書(表)
(Word文書) (PDF文書)
●無線局事項書及び工事設計書(裏)
(Word文書) (PDF文書)
●無線局免許申請書
(Word文書) (PDF文書)
●送信機系統図(附属装置がある場合のみ、保証願書の裏に印刷)
(Word文書) (PDF文書)
●社団局定款(表裏)(社団局のみ)
(Word文書) (PDF文書)
●社団局構成員名簿(社団局のみ)
(Word文書) (PDF文書)

アマチュア無線の運用について
1.無線従事者免許証の携帯
 無線局を運用する際には無線従事者免許証を携帯しなければなりません。また無線局免許状は無線設備の設置/常置場所に備え付け、移動する局の場合は無線機に無線局免許証票シールを貼ってください。
2.周波数の独占はできない
 電波は公共のものです。周波数を独占することは認められていません。普段使用している周波数が使用されていた場合には、空いている周波数を使って交信してください。
3.他の無線局に妨害を与えない
 自局の発射する電波が他の無線局(アマチュア局だけでなく公共のテレビ、ラジオ等多岐に及ぶ)の運用又は放送の受信に支障を与える場合には、速やかに電波の発射を中止しなければなりません。
4.バンドプランを守る
 アマチュア無線を運用する場合には、バンドプラン(アマチュアバンド使用区分)にしたがって運用してください。なお、この使用区分に違反して運用した場合には、電波法に基づき無線局の運用停止などの行政処分の対象となります。ただし次の通報の送信を行う場合には、使用区分以外の電波を使用することができます(監査指導業務)。
(1)使用区分を守らないアマチュア局への使用区分の周知に関する通報
(2)呼出符号の送出のないアマチュア局への呼出符号の送出を促す通報
 FMの周波数帯では通常KHzの位を0、10KHzの位を偶数にして20KHzずつ移動することになっています。最近のトランシーバーは出荷時にほとんどそのように設定されています。具体的に144MHz帯のメインチャンネルからUPしていく例を示しておきます。
 145.000MHz→145.020MHz→145.040MHz→145.060MHz→145.080MHz→145.100MHz→……
 以上です。実際交信していて混信してきたら、20KHz UP(20ケーシーアップ)、20KHz DOWN(20ケーシーダウン)と相手に伝えて周波数を移動していくのも一つの技です。昔はHz(ヘルツ)をc/s(サイクル)、KHz(キロヘルツ)をKc(キロサイクル)、MHz(メガヘルツ)をMc(メガサイクル)と表示していたため、その名残でKHzの単位を「ケーシー」と呼ぶことがあります。
 レピータ局の運用
 海外での運用
 外国人の日本での運用
5.金銭上の利益に直接つながるような運用をしない
 アマチュア無線では金銭上の利益に直接つながるような運用は認められていません。「電波法施行規則 抄 第三条第一項第十五号」では、「アマチュア業務 金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務をいう。」と謳われています。
6.お互いにコールサインを言う
 アマチュア無線を運用する際には必ずコールサインを言いましょう。使い方の一例を次に示しておきます。
 まず空いている周波数を探します。
 木下:「こちらJO6UTD、この周波数お使いの方いらっしゃいますか?」……しばらく間をおいて……「この周波数お借りします。JA6**○○さんお聞きですか?こちらJO6UTD木下です。」
 ○○:「JO6UTD木下さん、こちらJA6**○○です。」
 あとは適当に交信をして、10分間に一度くらい会話の中で「JA6**こちらJO6UTD」など、コールサインを入れて交信します。
 お互いの名前はニックネームでも構いません。CW(モールス通信)でも昔からハンドルネームが使われてきました。
 また複数のメンバーの中で、聞いている誰かに応答してもらいたい時には次のように呼び出します。
 「JG6YAO各局(かっきょく)どなたかお聞きですか?こちらJO6UTD。」
 (↑4文字目がYまたはZのコールサインは社団局)
 またロールコール(複数で回しながら交信)をする場合には次のような感じです。
 木下:「JA6**○○さんほか各局、こちらJO6UTD木下ですどうぞ。」
 ○○:「了解、JO6UTD木下さん各局、こちらJA6**○○です。木下さんこんにちは、本日もよろしく……。JK6***局はお聞きですか?」
 ○△:「了解、○○さんこんにちは。JA6**各局JK6***、本日もよろしく……。それでは木下さんにマイクをお返しします。JO6UTD木下さん各局JK6***○△です。本日もよろしく……。」
 木下:了解、JK6***各局JO6UTD木下です。○△さんこんにちは、本日も宜しく……。他どなたかお聞きの方いらっしゃいますか?」
 特に複数で使用する場合には「了解」の後、一旦マイクを離して1秒ほど受信状態にします。それは緊急で誰かが交信したい時にその間に入り込めるようにするためのブレイクタイムです。入り込む局は「ブレイク」と送信した後受信状態にし、相手が「ブレイクどうぞ」と言ってから交信を始めます。ブレイクは「了解」の後に限らず、交信の合間のどこで入れても構いません。
 なお、コールサイン(無線局の免許)がないのに、無線局を開設し、または運用した者は、電波法 第百十条により1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。2004年2月7日、福井・石川県境の大長山(1671メートル)を下山中遭難した、関学ワンダーフォーゲル部14人からの救助を求める無線を、福井市内のアマチュア無線家が傍受し、110番通報したことにより捜索救助活動が開始され、2月9日までに全員が救助されました。この時、遭難した関学生のうち2人は無線従事者免許を持っていましたが、アマチュア無線局免許は取得していませんでした。部員は「電波法違反は知っていたが、厳密なものだとは思っていなかった」と話しましたが、北陸総合通信局は電波法違反の疑いで事情聴取しました。この遭難事故ではアマチュア無線のおかげで全員無事に帰ってくることができました。それほどアマチュア無線は非常時に重要なものだと思います。だからこそ免許取得を含めて十分な準備をするべきでしょう。
7.他人の情報を漏らさない
 他人の通信を傍受して知り得た情報を漏らすことは禁じられています。「電波法 第百九条」では、「無線局の取扱中に係る無線通信の秘密を漏らし、又は窃用した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。2 無線通信の業務に従事する者がその業務に関し知り得た前項の秘密を漏らし、又は窃用したときは、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」と謳われています。
8.暗語を使わない
 特定の人にしか理解できない暗語は使用できません。誰にでも分かる明瞭な言葉で交信してください。交信でよく使われる無線用語Q符号欧文通話表、和文通話表等も覚えておいたほうが良いでしょう。
9.虚偽の通信、わいせつな通信をしない
 アマチュア無線は不特定多数の人が聞いています。虚偽の通信やわいせつな通信は処罰の対象となります。また誹謗中傷、プライバシー侵害、個人や団体の名誉毀損、社会の秩序を乱すこととなる通信もできません。「電波法 第百六条」では、「自己若しくは他人に利益を与え、又は他人に損害を加える目的で、無線設備又は第百条第一項第一号の通信設備によつて虚偽の通信を発した者は、三年以下の懲役又は百五十万円以下の罰金に処する。」と謳われています。また「電波法 第百八条」では、「無線設備又は第百条第一項第一号の通信設備によつてわいせつな通信を発した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」と謳われています。

 以上のことに心掛け、アマチュア無線の世界を思う存分楽しまれてください。

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