馬毛島問題の勉強会

 東京から3人の弁護士を招いて勉強会がありました。内容は今問題になっている馬毛島についてです。

 核施設の中間貯蔵施設で問題になっている馬毛島ですが、今度は島の殆どを所有する馬毛島開発が採石事業を始めるということで県が許可を出してしまいました。採石法というものがあり、石を採る計画が人に危害を及ぼす、建造物に被害を与える、地場産業に損失を与える等のことがあってはならないとされています。しかし現在馬毛島の西側(種子島寄)が広い地域にわたり伐採されています。また伐採後1万5千本のダイナマイトを使って穴を掘ることになっています。ここは非常に優れた漁場が前にあり、しかもこの森は魚付き林(漁場を豊かにするための森林)として漁業者により手厚く保護されてきたものです。つまり既に漁業に多大な損失を与えるような行為をし、採石法に違反している訳です。

 馬毛島開発は「島の東南部約9万7千平方メートルの採石事業を行い、年間53万6千立方メートルあまりの砂岩を採掘する予定。許可分の採石終了後は港を建設して本格的な採石事業展開を計りたい。最終的な採石面積は島の3〜4%ほどで、30〜40年間にわたり事業を継続する計画。」と言っています。しかし島内には採石に向いている場所はなく、穴を掘って何かを造るためにやっていることは明白で、ウソをついて申請したとしか考えられません。それでも県が許可を出したのは、工事が他の目的(港を造るなど)であることが明白であっても、その目的が他の部署の管轄であったりすると手続きが面倒になるから見逃すといった縦割り行政のためです。

 馬毛島はニホンジカの固有亜種マゲシカを初め、貴重な動植物の宝庫です。また島の周辺海域にはサンゴ礁の美しい海が広がり、優れた漁場にもなっています。馬毛島は現在、島の98.5%を馬毛島開発が所有しています。島の中には碁盤状に市道(西之表市)が有ったのですが、これも馬毛島開発に払い下げられました。残りの1.5%は西之表市と60名ほどの名義の個人所有となっています。しかし個人の所有地が港の前にあるため、工事に必要な重機や物資を運ぶためにここを通らなければならず、馬毛島開発は所有者の代表2人に対し、通行妨害禁止の裁判を起こしました。この2人は馬毛島開発に手懐けられ、反対派から代表を下ろされました。しかし所有者の半数以上が通行を許可したら阻止することは出来ません。

 これからの運動の進め方として、
●とにかく馬毛島へ行って現場を見ること(それが相手に対して圧力となる)。
●エコツアーなどを企画して道を通る規制事実を作る。
●自然の権利訴訟を起こす。
 などが考えられます。馬毛島は環境の素晴しさと共に戦争時代の跡(銃撃戦の跡など)や入植の跡もあり、学習の場として、また年配の人にはノスタルジーを思い起こさせるような場として注目できます。自然の権利訴訟は出来るだけ大きな自然保護団体を代理人にするべきです。また漁民と環境NGOの利害が一致するように運動を進めることが大切です。経済的なこととつながらないと中々うまくいきません。オランダでは日本の諫早湾のような広大な干潟を守るため、ムール貝業者を味方に付け成功しました。ちなみにオランダでは全国民の7割が自然保護団体に寄付をしています。

 最終的な目的として、
●馬毛島の行政区である西之表市で自然保護条例を制定する。
●周辺の海岸線を海中公園のような形で公園指定する。
 などの方法があります。

文責:木下 大然

原発はいらない屋久島の会トップページ