川内原発増設計画の中止などを求める意見書

 九州電力は2011(平成23)年1月12日、国へ川内原発3号機増設に係る原子炉設置許可申請をおこない、2013(平成25)年度着工、2019(平成31)年度開始をめざしています。しかし、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震とそれによる津波がもたらした福島第一原発などによる「原発震災」は未だ収束の目途が立たず、空や海や陸地へ大量の放射性物質が放出され、多くの人々が故郷を追われ、多くの国民が被曝に怯え、多くの農業や水産業などの従事者は放射能汚染被害とその「風評被害」に苦しめられ、国際社会からも強い批判を受けています。原子力安全・保安院は、史上最悪とされるチェルノブイリ原発事故と同じ国際評価尺度レベル7と暫定評価しました。
 政府は福島「原発震災」を受け、川内原発などの原発新増設を盛り込んだ「エネルギー基本計画」を白紙に戻すとともに、再生可能エネルギーを基幹エネルギーと位置付け、省エネ社会の構築を打ち出し、脱原発・減原発へ進もうとしています。
 第一に、これまで原子力発電所は「止める・冷やす・閉じ込める」という「多重防護」によって絶対に過酷事故は起きないと言われてきましたが、この「安全神話」は脆くも崩壊してしまいました。原発事故被害の大きさと甚大な経済的損失は、人類が原子力と共存できないことを示しています。
 第二に、川内原発増設計画を中止しても社会全体の自主的な省エネを強めれば電力供給に不安はありません。九州電力の原発を全て停止しても、電力供給力に余裕があることが九州電力の資料によって明らかになりました。
 第三に、安全性や核兵器拡散、高レベル放肘性廃棄物の最終処分の不透明さなどの多くの問題を抱えている原子力発電中心のエネルギー政策を転換し、地球にやさしい温暖化対策のためにも、再生可能エネルギーを軸にした地域分散型小規模発電ネットワークづくりが求められています。
 よって、以下の事項について強く要請します。

1 手続きを凍結している川内原発3号機増設計画を白紙撤回し、中止すること。
2 川内原発の定期点検後の稼働については、九電が「緊急安全対策」として平成26年度初めまでの完了をめざしている重要機器の防水対策などの実施後、福島第一原発事故の究明とそれを踏まえた政府による抜本的な安全対策を行った後、避難対象となっている地城を参考にして想定し得る関係自治体・議会及び住民の了解を得ること。
3 九州電力内の全ての原発が停止しても最大電力需要時に対応する供給力が十分にあり、アジア諸国の電力事情を踏まえ「電力事情」を理由にした企業の海外進出はありえないことを明らかにすること。併せて、社会全体の省エネを促進し、ガスなどのエネルギーの多様化を推進すること。

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