屋久島町 |
安房・松峯 |
安房は屋久島で2番目に大きな町です。松峯、春牧、平野は集落としては別になっていますが、行政上は安房で、全体で約2400人の人が住んでいます。町の中心部に屋久島町役場の分庁があります。安房の町からヤクスギランドまでは県道が、荒川分れから荒川登山口までとヤクスギランドから淀川登山口までは町道が整備され、宮之浦岳、縄文杉等の奥岳には殆どの人がこちらから登ります。 安房はトビウオ漁、一本釣りなどの漁師も多く、トビウオの水揚は日本一です。昔はトビウオが産卵の時期になると浜辺にたくさん集まってきて、たも網で簡単にすくえたので、大人も子供も総出で採りに行ったそうです。しかし昭和50年代後半には海の海藻が殆ど消え、そこに産卵していたトビウオが来なくなってしまいました。それは昭和30年代の照葉樹林の大量伐採により、海に森の養分が行かなくなったことが原因でしょう。今では沖に出て大きな網で大量に捕獲していますが、これもうっかりすると根こそぎ採ってしまうことになりかねません。トビウオやムロアジで作る干物の「くさや」で有名な伊豆七島でも最近はめっきり採れなくなり、屋久島のトビウオを使っているという話も耳にします。 ゆったりと流れる安房川は屋久島で一番大きな川で、カヤックを楽しむ人もたくさんいます。安房川南側のちょっと奥まったところには、屋久島町指定天然記念物のモダマがあります。安房川北側の県道近くには、安房出身の儒学者泊如竹(とまりじょちく)の墓があります。泊如竹は寛永17年(西暦1640年)、屋久島の林政について薩摩藩主島津光久に献案し、言葉巧みに島民を納得させ、屋久杉の平木を年貢として収めさせるようにしました。地元では産業発展に貢献したということから屋久聖人として称えられていますが、自然の立場から考えると屋久杉の大量伐採につながるきっかけとなった人物であり、映画「もののけ姫」の「ジコ坊」の如く、屋久島の「シシ神の首」をはねてしまったのです。命日である旧暦の5月25日には如竹神社で如竹踊りが催されます。郷土芸能としては他に初盆の供養と豊作を祈願して8月14日に踊る安房棒踊りがあります。 |
春牧には約5000年前の隆起珊瑚礁の海岸である春田浜があります。ここは救助犬の捜索訓練でもよく利用しています。タイドプール(潮溜り)もたくさんあり、国指定天然記念物のオカヤドカリやリュウキュウコケリンドウなど貴重な動植物も自生しています。しかし残念なことに、町は大工事をしてその一部を破壊してしまいました。「ネイチャーウォッチングリーフ」と称していますが、人工的なプールやコンクリートで固められた浜になってしまいました。一体どこがネイチャーなのでしょう??? 平野には猿川ガジュマルがあります。1本の木で10アール(約30メートル四方)にもおよぶ見事なガジュマルの木です。私たちの家からも比較的近いです。 |