5.フィラリア、ノミ・ダニ、腸管寄生虫の駆虫等

 高温多湿の日本では、犬のフィラリア症は予防しなければほぼ間違いなく罹ります。またそのまま放置すれば心臓の中が寄生虫でいっぱいになり、犬は苦しんで死んでいきますので、必ず予防薬を飲ませるようにしましょう。フィラリアは蚊によって媒介される糸状の寄生虫です。蚊の体内から排出されたフィラリアの幼虫は、まず犬の筋肉や脂肪組織等に宿り1〜2ヶ月間潜伏しますが、その間は薬が効きません。その後、幼虫は血管に移動しますが、その時点で初めて薬が効きますので、最初の投与は犬が蚊に刺され始めてから1ヶ月後で構いません。ただし、犬は人よりも体温が高く蚊に刺されやすいので、人が刺された日から換算して20日後位を目安にすれば良いでしょう。その後は1ヶ月毎に投与し、最後は犬が蚊に刺されなくなってから1ヶ月後(人が刺されなくなってから40日後位)まで投与してください。例えば11月1日で蚊に刺されなくなったとしたら12月1日まで投与します。その薬効は1月中旬頃までありますので、最後に刺されてから2ヵ月後(1月1日)に血管に出てきたフィラリアの幼虫に対しても効果はあります。参考までに、熱帯で人がよく罹るマラリアも同様です。海外出張から帰ってきてから予防薬を飲み忘れ、その後に肝臓に潜伏していたマラリア原虫が血管に出てきて、高熱を出して死ぬ人がいるのはそのためです。なお、動物病院で処方されるフィラリア症予防薬は、イベルメクチン、ミルベマイシンが多いようですが、当犬舎では比較的安全性が高いと言われているモキシデクチンを使用しています。同じ成分の注射用モキシデックSRでは、
アナフィラキシーによる死亡例が何件も報告されていますが、これは製剤する時に混合する他の成分によるものだとする見解もあります。

 ダニによって媒介される病気の中にも危険性の高いものがあります。特に恐ろしいのはマダニによって媒介されるバベシア原虫で、犬や牛等の赤血球に寄生します。それをマクロファージ(免疫機構の一つで白血球の一部)が攻撃することで赤血球まで破壊され、重度の貧血を起し、死に至ることもあり、完治させるのも難しい厄介な病気です。他にマダニによって媒介される病気にライム病、Q熱等があります。またノミによって媒介される瓜実条虫は、食欲不振や下痢を誘発することがあり、特に幼犬は体力を消耗させる恐れがあります。致死性の高い犬パルボウィルス感染症もノミによって媒介されることがあります。他にノミによって媒介される病気にノミアレルギー性皮膚炎、猫ひっかき病等があります。真冬でも藪や林に入ればダニが付くこともありますし、暖房の利いた部屋ではノミが繁殖する可能性もありますので、ノミ、ダニ予防は周年やっておいたほうが無難でしょう。当犬舎では月に1回、ネクスガードを投与しています。ただしこの薬は疥癬の原因となるヒゼンダニには効かないので、当犬舎では疥癬予防のために、月2回ほど六一〇ハップを溶かしたお湯で犬の全身を洗ったり、除虫菊煎剤やモキシデクチン水溶液を全身と犬舎に撒布しています。

 腸管寄生虫による病気には瓜実条虫症、回虫症、鉤虫症、鞭虫症、マンソン裂頭条虫症、多包条虫症、コクシジウム症、ジアルジア症などがあり、その中には幼犬が重篤な症状に陥る病気もあります。当犬舎では適切な時期に瓜実条虫、回虫、鉤虫、鞭虫、マンソン裂頭条虫、多包条虫等を駆虫するプラジクアンテル+パモ酸ピランテル+フェバンテル、コクシジウムを駆虫するトルトラズリル、ジアルジア等を駆虫するメトロニダゾールを経口投与しています。

 薬には副作用が付き物です。決められた用法、用量を守り、なるべく併用を避けるほうが無難です。異常が見られたら早めに獣医師に相談しましょう。また、「
動物医薬品検査所」では、殆どの動物医薬品の詳細情報(副作用を含む)を検索することができます。それぞれの駆虫薬、予防薬等の購入先は「有用リンク」で紹介してありますので、よろしければご利用ください。英文のサイトもありますので、購入の仕方が分からなければ当犬舎までご相談ください。また「Petwell(犬の病気、猫の病気一覧)」では、犬猫の病気について詳しく記されています。トップページには症状の一覧が出ていて、「50音別 犬の病気一覧」をクリックすると病名の一覧が表示されます。原因や予防の仕方も記されていますので、一通り目を通しておくと良いでしょう。

 普段から犬や犬舎を清潔に保ち、必要に応じて全身洗浄、耳掃除、歯磨き等をすることは病気を防ぐことにつながります。またブラッシングも重要で、毛を解いて皮膚を清潔に保ち血行を促進させるだけでなく、皮膚の異常等を発見するのに役立ちます。更に人と犬のスキンシップとなり、信頼関係を築くのに非常に有効ですから、是非日課とされることをお勧めします。

1.ご用意いただくもの


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2.餌の選び方、与え方


与えてはいけないもの
3.しつけの基本


 
4.ワクチン接種の注意点


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